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信州産ソルガム普及へ アレルギーの原因物質含まず栄養豊富な健康食品

長野市の井上格さん、会社を設立して3年。

若里に工房兼店舗オープンへ

信州ソルガムのビジネス展開などについて話す井上さん
「本当に安心して食べられるものを」

 世界5大穀物の一つとされる「ソルガム」。リラックス・安眠効果があり、中性脂肪やコレステロールを抑える働きがある「GABA(ギャバ)」、抗酸化作用のある「ポリフェノール」、腸内環境を整える「食物繊維」が豊富という。こうした特徴に注目し、信州産ソルガムを原材料にした商品を製造・販売する会社「AKEBONO」(若里)を3年前に設立したのが井上格(いたる)さん(33)。現在、商品の製造は外注だが、来年3月ごろまでに工房兼店舗を若里に出店する計画で、ソルガムの普及に意欲的に取り組んでいる。

 井上さんは栃木県出身。学生時代から漠然と起業への思いがあったという。早稲田大大学院(物理学専攻)修了後、総合商社に就職し、ビジネス経験を積んだ。「30歳までには起業をしようと考えていた」

 長男に小麦アレルギーがあり、小麦粉の代わりに米粉を使っていたが、小麦粉と違った重たい質感のせいか食が進まないときがあった。井上さんは米粉以外の選択肢を探す過程で小麦アレルギーの原因物質を含まないソルガムの存在を知ったという。

 ソルガムは、小麦などに含まれるタンパク質の一種で、食物アレルギーの原因にもなる「グルテン」を含まない。タカキビやモロコシと呼ばれ、信州でも古くから栽培されてきたが、当時国内で手に入るソルガムのほとんどは海外産。アレルギーのせいで食材に敏感になっているのに国産のものが見つからない。安心して食べられるものはないかと考えていたところ、長野市で信州産ソルガムを広めていることを知った。


 起業を前提に家族と共に東京から長野市に移住。2018年から3年間、長野市地域おこし協力隊員として七二会地区を担当し、信州産ソルガムの普及をミッションに活動してきた。


「AKEBONO」が製造・販売する信州産ソルガムを原材料にした商品

 長野市は妻の出身地でなじみがあった。井上さんは「東京では、公園に遊びに行くにも電車に揺られていくような環境だった。家族が安心して暮らせる場所で、気持ちを込めて一生懸命できることで起業したかったので、『これだ』と思った」と話す。

 計画中の工房は、小麦粉やそば粉を全く持ち込まないようにする。こうした工場は県内にほとんどないという。「菓子などは自分たちで作った方が、細かい改善をしていきやすい。私たちの手で、アレルギーのある人が本当に安心して食べられるものを作りたい」

12月中に、出店への支援を募るクラウドファンディングを始める計画だ。


記事 松井明子

写真 森山広之


2022年12月10日号フロント

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