学校以外の子どもの居場所を運営する民間の18施設・団体一堂

長野市が初めて実施
不登校の子どもたちの話聴く 親子の孤立を防ぐために
長野市教育委員会が2月下旬、小島の柳原交流センターで開いた「ながの育ちと学びの場フォーラム」。市内外のフリースクールや施設、親の会など、子どもたちの居場所を運営する民間の18施設・団体が各団体の活動内容を説明し、パネル展示を行った。
市教委が保護者と児童・生徒を対象に、学校以外の居場所の説明を目的にしたフォーラムを開くのは初めて。市教委の上石秀明学校教育課長は、「一堂に集まってもらうことで、保護者が一つ一つ問い合わせしなくて済むし、対面形式で話を聞くメリットがあると思う。親子の孤立を防ぐためには、子どもの支援だけでなく、こうした試みを通して保護者を支援していくことが大事」と話す。
「不登校の子の母親として感じたこと」をテーマに講演した「ブルースカイ(登校拒否を考える親と子の会)」代表の松田恵子さん(71)=松代温泉=は、「フォーラムの準備も進行も市教委の職員が一生懸命やってくれた。行政も少しずつ変わってきていると感じる。このまま進んでほしい」と願う。

長男が小学3年の頃から不登校になった松田さんは、児童相談所の個人相談に通う親同士が集まる「親の会」に参加するようになった。不登校の親たちの輪をもっと広げようと1990年、親の会の母親仲間と長男と共に立ち上げたのが「ブルースカイ」だ。
活動場所は主に長野市障害者福祉センター(鶴賀)。不登校や引きこもり経験のある子を持つ親たちが体験を語り合う「親の会」と、子どもや若者、親たちが、スポーツやゲームなど好きなことをして過ごす「例会」を毎月開いている。
フォーラムの日、会場のブルースカイのブースには、1人、2人と保護者が集まり始め、松田さんらブルースカイの参加スタッフを10人ほどが囲んだ。周囲で人が行き来する中で、誰も席を立とうとせず、各々の話にみんなが耳を傾けた。ここでの話は外では漏らさない約束。悩みと葛藤を吐き出して分かち合う。それはブルースカイのいつもの「親の会」と同じだった。
松田さんは「30年前の私と同じように悩んでいる親がたくさんいる。専門家でも先生でもない私たちは、つらいことをつらいと言い合える仲間づくりの手助けならできる。若い親たちの団体が育つまで、もうちょっと頑張りたい」と話した。
記事・写真 松井明子
長野市のホームページ内に「学校以外の子どもの居場所 施設・団体一覧」18施設・団体を掲載しています。
2023年3月25日号フロント