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人手不足解消へ「協同組合」設立

  • 3月15日
  • 読了時間: 3分

農業やスキー場など繁忙期に人材派遣

いいづなコネクトWESTで開かれた「いいコネワークス」の創立総会
いいづなコネクトWESTで開かれた「いいコネワークス」の創立総会
飯綱町「仕組み」導入 人材の発掘、育成へ

 飯綱町に移住などして働きたい若者らを、仕事の繁閑に応じて融通し合う仕組みが2025年度、同町でスタートする。このほど若者らを雇用する組合の創立総会が町内で開かれた。人手不足に直面する組合員からは、期待の声が聞かれた。


 組合の名称は「協同組合いいコネワークス」。町の仕事と人をつなぐイメージを盛り込んだ。農業やスキー場など、人手が欲しい繁忙期に職員を派遣する。


 具体的には7月から、派遣職員6人を組合が雇用し、組合に出資した11の事業者(組合員)に職員を派遣する。 仕事内容は、春から秋にかけては農業のほか、夏場はゴルフ場やキャンプ場、秋にはふるさと納税事務などが想定され、冬場はスキー場や、ジュース、ワインなどの農産加工、温泉施設での勤務が考えられる。


いいコネワークスの労働者派遣事業のイメージ
いいコネワークスの労働者派遣事業のイメージ

 派遣職員の給与は、週5日勤務の場合月額20万円。ほかに年2回の賞与、時間外労働手当、通勤手当などの各種手当も支給される。一方、派遣を受けた組合員側は、1時間当たり1119円の利用料をいいコネワークスに支払う仕組み。


 初年度の総事業費は約2360万円。およそ半分を労働者派遣による事業収入、残り半分は町からの補助金を見込むが、国からの交付金や特別交付税を引けば、町の実質負担は事業費の8分の1程度になる。


 組合の設立には、国の「特定地域づくり事業協同組合制度」を利用した。制度は20年度にスタート。この制度を利用して、今年1月現在、全国36道府県に108の組合が設立されている。長野県内では、生坂村(21年8月設立)、小谷村(同11月設立)の2村に組合がある。


 創立総会には約20人の関係者が参加。事業計画や役員を決めた。発起人代表で、この日理事長に就任した広田裕二さん(63)は、町ふるさと振興公社の社長を務める。公社として、荒廃農地をなくすためのソバやリンゴ、コメなどの栽培をしているが、ここ数年の農業分野での人手不足は「むしろ高齢化などからの担い手、後継者の不足」と話す。この日のあいさつで「地方で暮らして子育てをしたいというニーズは増えている。首都圏から新幹線と車で約2時間の飯綱町は果樹栽培に最適なほか、ゴルフやスキーなどの観光業も盛ん。年間通じての雇用を通じ、人材の発掘、育成につなげていきたい」と期待を寄せた。


 同町の峯村勝盛町長は取材に、「ふるさと納税の返礼品のリンゴは大変好評なのだが、リンゴが確保できないほど人手不足は深刻。設立当初から11の事業者が組合員になるというのはなかなかないと聞いている」と、事業者の期待の高さを代弁した。



 いいコネワークスの組合員になり、労働者派遣を受けられるのは、町内に事業場を有する農業、総合工事業、食料品製造業、宿泊業、飲食店、娯楽業など。入会時に出資金1万円と年会費1万円が必要。

記事・写真 吉村英樹


2025年3月15日号フロント

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