「中山間地活性化の実践例」本に
- 3月14日
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「小田切オアシス」相談役の酒井さん著

出版記念祝賀会「支えてくれた人に感謝」
「農業委員会15年 小田切の野菜はおいしいんです」
小田切地区の農家らでつくるNPО法人「小田切オアシス」の相談役を務める酒井昌之さん(87)が自費出版した「農業委員会15年 小田切の野菜はおいしいんです」の出版記念祝賀会がこのほど、市内のホテルで開かれた。関係者70人以上が出席し、刊行を祝った。2019年の台風で被災した長沼地区へ野菜を送るなどの支援で絆を深めた同地区住民自治協議会の関係者の姿もあった。
あいさつで酒井さんは、タイトルは10年に長野青年会議所と開いた、親子で農業体験をする「信州里山塾」に参加した母親が「野菜嫌いの子どもがおいしいと枝豆を食べた」との言葉からとったとし、「小田切のおいしい野菜が活性化活動につながった。支えてくれた人に感謝したい」と述べた。
著書には、標高約1000メートルの中山間地にある、過疎化や少子高齢化などで増える耕作放棄地再生に取り組んだ活動をまとめた。04年から15年間、小田切公民館官報に寄せたコラムと県地方自治研究センターの機関誌に載った15本のレポートを中心に構成した。
酒井さんは1938年、上水内郡小田切村(現長野市塩生乙)生まれ。更級農業高校を卒業後、しばらく実家で農業などをした後、全国労働者共済生活協同組合連合会に定年まで勤めた。07年に市農業委員に当選、5期15年間務めた。この間10年に里山塾、12年には「小田切うんめえ塾」といった市民向け農業体験プログラムを開講。サツマイモやソバ、野沢菜などの栽培・収穫を指導し、市街地から人を呼び込み、交流を図った。
13年には活性化に取り組んできた仲間らとNPО法人「小田切オアシス」を立ち上げ、市初の市民菜園を開いた。21区画の利用率は常に9割を超える人気で、約76アールの耕作放棄地を再生したが、最近は利用者が減り、募集に力を入れていた。
NPО法人設立の際に苦労した複雑な申請書の簡素化や集約・機械化が難しい中山間地の農業に対する支援の在り方など、行政への厳しい意見を述べる一方で、市民菜園などの開園では、原野化した畑の整地に市や県の補助金を活用した経緯を説明している。また、農業体験や市民菜園参加者の感想など、アンケート結果も紹介している。
酒井さんは23年、脳梗塞を患い、右半身にはまひが残る。週2回のデイサービスでリハビリに励む様子などもつづった。小田切オアシスの理事長は後進に託したが、「本は中山間地の活性化の実践例として残したかった。耕作放棄地の利活用に取り組む人の役に立てば」と酒井さん。刊行した150部は市農業委員会や市内図書館などのほか、地域活性化に取り組む人に読んでほしい—と寄贈する考え。A4判、192ページ、非売品。
(問)酒井☎︎090・3147・9468
記事・写真 斉藤茂明
2026年3月14日号フロント



