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レジェンド&バタフライ

=2時間48分

長野千石劇場(☎︎226・7665)で1月27日(金)から公開

(C)2023「THE LEGEND & BUTTERFLY」製作委員会

2人の夢「天下統一」へ 信長と濃姫の愛の物語

 映画「レジェンド&バタフライ」は、戦国の乱世に「魔王」と恐れられた織田信長と、政略結婚で結ばれた濃姫の激動の30年余を描いた愛の物語だ。

 尾張の織田信長(木村拓哉)のもとに、美濃の斎藤道三の娘、濃姫(綾瀬はるか)が輿(こし)入れした。初めはまったく気が合わず、ことあるごとに反発し合った2人だったが、「桶狭間の戦い」で、大軍に攻められ窮地に立つ信長は、濃姫の言葉に奮い立つ。勝利を収めた信長と、「蝶(ちょう)」のように自由に羽ばたき生きることを夢見る濃姫は、戦を通じて絆を強め、2人で天下統一への道を歩み出す。

 16歳と15歳で出会い、夫婦となった2人の33年間が、史実とフィクションを交えながら描かれてゆく。女は従うものとあなどっていた信長に、臆することなく毅然と振る舞う濃姫。知将のように策を練り、男勝りで武芸に秀でた濃姫がよみがえったかのような、綾瀬はるかのアクションの切れ味は、ほれぼれするほど鮮やかだ。次第に心を通わせてゆく2人が、馬を連ねて駆けるシーンは軽やかで美しい。

 傍若無人で、格好ばかりの若き日から、戦の屍(しかばね)を積み上げ「魔王」と呼ばれるほど、残忍な表情を身に付けてゆく信長。戦国の世を生き抜く苦悩と葛藤、孤独と一瞬の狂気を宿す木村拓哉の瞳にぞくりとさせられる。

 互いに素直になれず、愛が深まるほどに擦れ違う、繊細で切ない物語に心が揺さぶられる。

 背景となるシーンにも見どころがふんだんに盛り込まれている。初めて映画撮影が許可された国宝の朝光寺(兵庫県加東市)。好奇心旺盛な信長が、南蛮渡来の文化を取り入れた絢爛(けんらん)豪華な安土城や、異国の人々でにぎわう城下町など、衣装や建造物などがこだわって再現された。

 1582年6月の本能寺の変で最期を遂げた信長。かたや史料に乏しく、病死、離縁、生存とさまざまな説が流れ、謎に包まれた濃姫の生涯。だからこそ生まれた信長と濃姫の新しい愛の物語は、ロマンに満ちている。

日本映画ペンクラブ会員、ライター


2023年1月21日号掲載

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