「レクチャーパフォーマンス」語りを主体とした芸術実践

長野市出身の佐藤朋子さん

公開制作中のオープンギャラリーで、リサーチで集めた資料を整理する佐藤さん
「リサーチ」進める制作過程を公開 8月14日に作品を上演

 県立美術館で制作 9月11日まで

 語りを主体としたパフォーマンスの一形式で、「レクチャーパフォーマンス」といわれる芸術実践を行っている長野市出身のアーティスト佐藤朋子さん(32)=横浜市=が県立美術館(箱清水)1階のオープンギャラリーで公開制作を行っている。現在制作進行中の「狐・鶴・馬」と人との物語のうち、「狐」に主眼を置いて「リサーチ」を進める作品制作の過程を見てもらうとともに完成作品の上演と展示をする。

 佐藤さんは、長野吉田高校を卒業後、早稲田大学に進学。在学中に留学したノルウェーでシュールレアリスムやコンテンポラリーアートに出合い、「芸術をしっかり勉強し直したい」と、同大卒業後、東京芸術大学へと進んだ。その後、卒業制作で、青森出身の祖母から聞いた青森空襲の話をパフォーマンスにまとめた。この時、作ることで自身が深く学べる体験をし、「これを制作と呼んでいいのなら面白いし、続けたい」と大学院へ。作家として歩み出した。

 佐藤さんは、日常生活で思い浮かんだ疑問や物事を出発点に、それにまつわる歴史や人物、現象を「リサーチ」して、出合ったものから文脈を編み直して、新たな物語をつくって語り直す。

 2018年の大学院修了制作として取り組んだのが「狐」のプロジェクトだった。祖父母が暮らす飯山市で聞いた「昔は狐につままれた人がいた」という話に興味を抱いたことをきっかけに、狐にまつわる事象や伝説などのリサーチを始め、調査過程から浮かび上がった事柄などを編み直した物語「しろきつね、隠された歌」を制作し上演した。その後、近代競馬発祥の旧根岸競馬場(横浜市)に向かうバスの中で鑑賞者が録音されたレクチャーパフォーマンスを聴く「103系統のケンタウロス」など多数の作品を生み出している。

 長野市に長期間滞在するのは高校卒業以来という佐藤さん。「今取り組んでいる『狐』にまつわるプロジェクトは、長野県で聞いた話から始まった。自分の体験と重ねたり、身の回りの出来事と関連づけたりしながら聞いてもらえる作品になったらうれしい」と作品づくりを進める。

 公開制作は9月11日(日)まで。8月14日(日)11時からと15時からの2回、期間中に制作した作品のレクチャーパフォーマンスを上演する。ほかの日に、作家の姜(きょう)信子さんをゲストに迎えてのアーティストトークや朗読と映像のワークショップなども開く。参加希望者は各イベント受付期間中に同美術館ホームページのイベント応募フォームから申し込み。

 公開制作期間中の観覧は無料。開館時間は9時から17時。水曜日休館。

 (問)同美術館☎︎050・5542・8600(ハローダイヤル)

記事・写真 中村英美


2022年7月23日号フロント