モガディシュ 脱出までの14日間

=2時間1分

長野相生座・ロキシー(☎︎232・3016)で7月29日(金)から公開

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大使館員らの脱出劇 実話に基づくドラマ

 1991年、アフリカのソマリアでは内戦が激化し、首都モガディシュが反乱軍に制圧される。ソマリア駐在の韓国大使とその家族は生死をかけて国外脱出を図るが、そこには思いがけない運命が待っていた。実話を映画化した「モガディシュ 脱出までの14日間」は、長らく伏せられていた脱出劇の真実を描いている。

 国連加盟を目指す韓国政府は、投票権を持つアフリカ諸国への外交活動に力を入れていた。韓国大使のハン(キム・ユンソク)は、駐在するソマリアで、同じく国連加盟をもくろむ北朝鮮のリム大使(ホ・ジュノ)と反目し合っていた。そんな中、内戦が激化し、反乱軍は各国大使館への襲撃を始める。国外脱出を決意した韓国大使館に、逃げ場を失った北朝鮮の大使たちが助けを求めて現れる。

 同じ民族でありながら対立する両国は、根深い相互不信と深い溝を作り出し、相手を頼ることも救うことも許されない。国家のプライドを貫くのか、それとも命を重視するのか。その板挟みになりながら、家族らを守るために決断を迫られる両国の大使たち。反目し合ってきた両国を結びつける上で信頼が重要な鍵を握る中、諜報活動を繰り広げた韓国大使館参事官がすごみを見せる。

 至る所で反乱軍が銃口を向け、市民も暴徒化した危機的状況の中、いかに脱出するか。激しい銃撃戦やカーチェイスが目を奪う。飛行機が出発するタイムリミットが刻々と迫る緊迫感は、エキサイティングではらはらさせられる。目まぐるしく展開するサスペンスでありながら、根幹を流れるのは血の通ったヒューマニズムだ。

 元大使が退官後、出版した小説が原作。近年になって事件の顛末(てんまつ)が公表された。「突然平和が奪われ、憎悪がもたらす戦争の残酷さをメッセージとして描きたかった」と語るリュ・スンワン監督。リアリティーを求める監督は、渡航禁止国家に指定されているソマリアに代えて、モロッコにモガディシュを再現し、オールロケで撮影を行ったそうだ。

 韓国で昨年のナンバー1ヒットを記録。アカデミー賞国際長編映画賞部門の韓国代表作品に選出された。

日本映画ペンクラブ会員、ライター


2022年7月23日号掲載