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ファミリア

=2時間1分

長野ロキシー(☎︎232・3016)で公開中

(C)2022「ファミリア」製作委員会

移民の現状に光当て 家族の絆とは—描く

 かつて日本人が新天地を求めてブラジルや米国、カナダなどに移住し、苦労を重ねてその国に根付いてきた移民の歴史がある。そして現代の日本に「ジャパニーズドリーム」を求めてやって来た在留外国人はおよそ280万人。映画「ファミリア」は、移民の現状に光を当てながら、家族の絆を描いた人間ドラマだ。

 山里に暮らす陶器職人の神谷誠治(役所広司)のもとに、アルジェリアに赴任中の一人息子・学(吉沢亮)が難民出身の妻ナディアを伴い一時帰国した。新たな家族の誕生を心から祝福する誠治。ある日、チンピラたちに追われるブラジル人青年マルコスを助け、交流が生まれる。

 ブラジル人居住者の多い愛知県出身の脚本家いながききよたかが、2013年に起きたアルジェリア人質事件に触発され、自ら知るブラジル人コミュニティーの人々の姿を重ねながらオリジナルの脚本を生み出した。

 日本に暮らす外国人たちが言葉の壁や習慣の違いなどから社会問題に発展することも多い。親と来日した子どもたちが希望を失い、突きつけられる過酷な現実。いじめや差別に反発する若者たちのエネルギーの向かう先が、暴力や犯罪だとしたらやりきれない。

 マルコス役をはじめ、ブラジル人のキャストは、役者ではなく、オーディションで選ばれた在日ブラジル人たちだという。演技だけでないリアルな叫びが聞こえてくる。

 息子には不器用な父親を演じた役所は、役作りで本格的に陶芸に取り組んだというだけに、熟練の陶芸シーンも見どころの一つ。共演の佐藤浩市、松重豊、室井滋らベテランが脇を固める中、ミュージシャンのMIYAVIが強烈な存在感を発揮している。

 難民や移民の受け入れに当たって、外国人への先入観が自ら見えない壁を築いていないだろうか。互いに理解し、共生していくためにどうすべきか。希薄化する家族の絆の在り方をどう捉えたらいいのか。日本の未来の縮図のような物語に心構えを問われているような気がした。

日本映画ペンクラブ会員、ライター


2023年1月14日号掲載

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