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ビヨンド・ユートピア 脱北

=1時間55分

長野ロキシー(☎︎232・3016)で3月15日(金)から公開

(C)TGW7N, LLC 2023 All Rights Reserved

脱北に挑む5人家族 緊迫の生々しい映像

 「ビヨンド・ユートピア 脱北」は、北朝鮮からの脱出=脱北に挑む家族の総移動距離1万2千キロに及ぶ過酷な旅を捉えたドキュメンタリー映画だ。

 北朝鮮で、もし脱北に失敗すれば厳しい刑罰が待っている。命懸けの旅をするのは幼い子ども2人と老母を抱えた夫婦の一家5人。救いの手を差し伸べたのは、韓国で脱北者を支援する団体「地下鉄道」の最も著名なメンバー、キム牧師だ。

 脱北後は、中国、ベトナム、ラオス、タイの4カ国を移動し、目指すのは韓国。想像を絶する決死の挑戦だ。道なき道をひたすら歩く。老人と子ども連れの歩みは遅々として進まず、危険が増してゆく。

 介在するブローカーは50人以上いたという。脱北者の中には悪徳ブローカーの裏切りで通報され強制送還になったり、最悪の場合、収容所での拷問や処刑されたりする危険がある。スマートフォンで撮影された生々しい映像は、緊迫感に満ちている。

 再現シーンはなく、撮影には地下ネットワークの人々も加わり、一部の詳細は関係者の安全のために伏せられているという。事実の積み重ねであるドキュメンタリー映像が観客に差し出した真実の衝撃はとても大きい。

 監督は、ドキュメンタリー作品で数々の受賞歴を持つ女性監督のマドレーヌ・ギャビン。数々の危険を乗り越えて完成した同作は、サンダンス映画祭では、シークレット作品として開催直前まで詳細が伏せられていた。脱北者の過酷で生々しい旅の記録は観客や映画関係者に強く訴え、高い評価を受けた。サンダンス映画祭のUSドキュメンタリー部門の観客賞を受賞したほか、世界各国の映画祭でも受賞した。

 先日、脱北者ユーチューバーたちの存在を取り上げたテレビ番組を見た。もの珍しい内容だけに再生回数を伸ばしているという。素顔を出し、北朝鮮の内情を暴露する行為がどれだけ危険の大きいものなのか。見終わった後に不安がよぎる。時代の変化のなせる技なのだろうか。

 日本映画ペンクラブ会員、ライター


2024年03月9日号掲載

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