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ハムネット

  • 4月11日
  • 読了時間: 2分

=2時間6分

長野グランドシネマズ(☎︎050・6875・0139)で公開中

(C)2025 FOCUS FEATURES LLC.

「ハムレット」誕生までの 苦難と愛の物語描く

 51歳で亡くなるまでの20年余に37本もの後世に伝わる戯曲を残した劇作家ウィリアム・シェークスピア。しかし、どんな人物だったのかを知る史料は少ない。「ハムネット」は、シェークスピアの名作戯曲「ハムレット」誕生の背景にあった家族の苦難と愛の物語を描いたベストセラー小説の映画化だ。


 16世紀、イギリスの小さな村で暮らすウィリアム・シェークスピア(ポール・メスカル)は、ラテン語の家庭教師をして知り合った8歳年上のアグネス(ジェシー・バックリー)と恋に落ちた。周囲の反対を押し切り結婚した2人の間に、長女スザンナと双子の長男ハムネットと次女ジュディスが誕生。しかし、作家としての成功を夢見るシェークスピアは愛する妻と3人の子どもを残して単身ロンドンへ。芝居小屋の脚本家として次第に名声を上げてゆくシェークスピアだったが、離れて暮らす一家に悲劇が襲い掛かる。


 監督は「ノマドランド」(2020年)で米アカデミー賞作品賞、監督賞を受賞したクロエ・ジャオ。本作では原作者のマギー・オファーレルと共同脚本を手掛け、シェークスピアの人物像に迫る。


 ペストがまん延し死への恐怖で暗黒に包まれた時代。夫婦は息子を死神に奪われ深い喪失感に翻弄(ほんろう)されてゆく。「ハムネット」は息子の名前。「ハムレット」とつづりが近く、当時交換可能な名前として扱われることもあったという。


 自ら魔女と称するアグネスは、未来を見通すような神秘的な力と薬草の知識の深さ、鷹(たか)を操る野性的な女性だ。家族を無償の愛で包み、守る強さは、大地に根を張る大樹のようだ。


 役者としても舞台に立っていたシェークスピアの恋を描いた「恋に落ちたシェイクスピア」(1998年)。シェークスピアの晩年を描いた「シェイクスピアの庭」(2018年)など、さまざまな作品で描かれたシェークスピアの生涯を、妻アグネスの視点と一家の日常生活をきめ細かく描いたことで、男としての、また父親としての姿が鮮明に浮かび上がる。


 ジェシー・バックリーが米アカデミー賞主演女優賞に輝いた。


(日本映画ペンクラブ会員、ライター)


2026年4月11日号掲載

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