top of page

ノスタルジックな「昭和」を緻密に

高2・竹前優月さん「空想画」展

かつての横浜をイメージしたという最新作の「海辺と街並みの夕焼け」を来場者に紹介する竹前さん

 上空から俯瞰したどこかの街。路面電車と、その横を走る昭和時代の自動車。ビルが林立する傍らには瓦屋根の木造住宅が密集している—。

 川中島町公民館ロビーで11月22日(水)まで開催中(土日休館)の「ノスタルジックな空想画 YUZUKI17y/o 作品展」。訪れた人たちは、「一つ一つの窓の中に物語があってわくわくする」「昭和の世界にタイムスリップした」「世界観に圧倒された」など、その緻密な描写力に感心するとともに、作者が17歳の高校生であることに驚きながら見入っている。

 作者の竹前優月さん=川中島町=は、長野日大高校探究創造学科の2年生。幼い頃から昭和のものが好きで、とりわけ「昭和40年代の街並みのある風景」に憧れた。小学生の頃から、それを絵で再現したいと、生まれる40年も前の時代の街のイメージを頭の中で膨らませ、ボールペンで描くようになった。

 成長とともに画面に描き込まれる建物は緻密さを増し、近年は高所から一望する視点で、鉄道が通りビルや商店、民家がひしめく市街地の壮大な空想風景を人々の暮らしとともに描いている。

 下描きは一切しない。思い浮かべた構図を基にパーツの一つ一つを手前から奥に向かって、ボールペンとマーカーで直接描いていく。「温かみが感じられるノスタルジックな空想世界の表現」を目標に手を動かす。

 昨年6月、来場者の投票で入賞を決める、テーマ自由の公募展「ZEN(ゼン)展横浜」に初出品した作品が最高賞の「大賞」を受賞。今年6月の出品作も「東京都美術館賞」を受賞した。

 高校生になってからこれまでに完成させた作品は70点余り。今回は、この中からコンクール受賞作を含めて自身が選んだ自信作を並べる。今年8月のZEN展で優秀賞を受賞した最も大きな縦約45センチ×横約60センチの「空想昭和の世界」は昭和40年代の風景がテーマ。当時の建物や列車、車などイメージをそのまま絵にした。遠くには実在の長野市の「七曲り」や実際にかつて運行していたロープウエーなども見える。

 竹前さんは「その時代を生きてきた人も若い人も、この絵を見て懐かしみを感じてくれたらうれしい」と笑顔で話した。

 入場無料。

 (問)同公民館☎︎284・8222

 記事・写真 中村英美


2023年11月4日号フロント

bottom of page