ナースコール
- 3月28日
- 読了時間: 2分
=1時間32分
長野ロキシー((電)232・3016)で4月10日(金)から公開

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看護師の激務と試練 張り詰めた糸が切れ…
看護師不足は日本だけでなく、世界的な問題だ。スイス映画「ナースコール」は、人手不足の満床病棟で遅番の看護師が直面する激務と試練を臨場感たっぷりにリアルに描いた社会派ヒューマンドラマだ。
州立病院の外科病棟に勤務する看護師のフロリア(レオニー・ベネシュ)にとって、その夜は最悪の日だった。ただでさえ人手不足で忙しいのに遅番のチームの1人が病欠、満床の病室を同僚と2人で回り、インターンの新人教育も加わり多忙さに拍車をかける。受け持ちの26人の患者たちは、病気も病状もそれぞれだ。不安や不満からクレームや怒りをぶつけてくる患者や家族たち。巡回中も絶えず緊急を告げる携帯がなり、ナースコールのライトが光る。患者たちに親身に対応するほどフロリア自身を追い詰め、張り詰めた糸が切れた時、ついにトラブルが起きた。
フロリアは責任感とプロ意識が高い有能な看護師だ。忙しくても嫌な顔を見せず、冗談にもユーモアで切り返す。どの患者にも誠意を尽くし奔走するが、個人の力だけではどうしようもない生死に直面する現場が病院なのだ。看護師に感謝する人ばかりではない。サービスを要求する傲慢な患者もいる。さまざまな人間が集まる病院は人生の縮図のようだ。
カメラはフロリアの目となって、余すことなく病院内を映し出す。途切れることのない医療シーンは息をつく暇もない。看護師という仕事の過酷な現実を見せつけられ、看護師も一人の人間なのだと叫びたくなる。実際にスイスでは看護師の36%が就労後4年で離職し社会問題になっている。
リアリティーを徹底的に追求した脚本を手掛けたのは、自身も病院勤務をした経験を持つスイスの女性監督ペトラ・フォルペ。フロリアを演じたレオニー・ベネシュは役づくりのため看護師のインターンシップを修了し、医療機器の操作や処置の手際の良さは本物そのものだ。自身も家族との悩みを抱えながらも患者に寄り添う優しさと誠実さに、看護師という仕事の崇高さを見事に体現している。
本国スイスでは4週連続1位、米アカデミー賞国際長編映画賞のスイス代表の最終候補にもなっている。
(日本映画ペンクラブ会員、ライター)
2026年3月28日号掲載



