空気の渦つくる表面 強風の空もすいすい
強風でセミが飛ばされているのを目撃しました。さらに驚いたのが、トンボは風をものともせずにすいすいと飛び回っていたことです。
この違いはどうやら「翅(はね)」にあるようです。トンボの翅は、表面がでこぼこしていて、翅に前から風が当たると、このでこぼこの部分に小さな空気の渦ができるそうです。この渦がベルトコンベアのような働きをして前進する力を生み出すため、強風に負けずに飛ぶことができるようです。
翅のでこぼこはそよ風のときも効果を発揮し、トンボは昆虫の中で最も低速で飛ぶことができるといわれています。
ところで、長野県で風が強い季節は春ですが、瞬間的に最も強い風が吹くのは今の時期です。
長野、松本、諏訪、飯田、軽井沢の全ての地域で、統計開始以来最大の瞬間風速は30メートル以上。時期は8月中旬から9月下旬に集中しています。
瞬間的な強風は、災害にもつながります。
最大瞬間風速が20メートルを超えると、住居に何らかの被害が発生するようになり、30メートルを超えると細い木の幹が倒れたり、風で飛ばされてきた物で電線が切れて停電したりします。
今はエルニーニョ現象に加えて、インド洋の一部で海面水温が例年と異なる特殊な現象が起きています。こうした年は、勢力の強い台風が発生しやすかったり、台風の寿命が長くなったりする傾向にあります。
台風シーズンの間は飛ばされやすいものを家の中に入れ、停電になったときには車に避難できるようガソリンを満タンにしておくなど、自分にあった備えをしておくと良いかと思います。
気象予報士・防災士
2023年8月26日号掲載
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