チョウの冬の装い

羽の表面にある鱗粉 寒さ対応の鍵を握る

 「気象予報ムシ」の連載を始めたきっかけは小学生の娘です。天気の話をしても関心を示さない娘に、虫の話を交えながら話すと、興味をもって聞いてくれ、さらに天気の知識も定着していきました。難しく捉えられがちな気象も、視点を変えて伝えるやり方もあると気がつきました。

 地球温暖化に伴い災害が増えている今、多くの人に天気に興味をもってもらいたいと思います。今年も山積みの昆虫本と格闘しながらつづっていきますのでお付き合いください。

 さて、寒さが続いていますが、昆虫にも冬の身だしなみがあります。

 チョウは春になると飛び始めるイメージですが、中には寒い冬にも飛ぶ変わり者がいます。

 その一つが「キタテハ」です。北海道から九州まで広く生息し、羽の表側はオレンジ色に黒い斑点模様、羽を閉じた時に見える裏側は枯れ葉そっくりの模様をしています。

 なぜキタテハは寒い冬に飛ぶことができるのでしょう。その鍵を握るのが「鱗粉」です。

 「鱗粉」とは、チョウの羽に規則正しく並んでいる粉のことで、羽をつかんだ時に手についた経験はありませんか。山口大学の山中明教授によりますと、通常鱗粉は魚のうろこのような形をしていますが、キタテハの鱗粉は細長い毛のような形になっているそうです。私たちがコートを着るように、キタテハも暖かい羽によって、寒さから守られているのです。さらに驚くのが、この毛のような鱗粉は夏になると減り、鱗粉の形で暑さや寒さに対応しているようです。

 一年で最も寒い時期は、1月下旬から2月上旬で、これからが冬本番。

 特に冷え込むのは、西高東低の冬型の気圧配置が緩み、西から高気圧に覆われてくる時です。上空に寒気が残っているうえ、晴れて雲がないため、前日に暖まった空気が空に逃げる「放射冷却」が起きやすいのです。

 こういった朝は内陸ほど厳しい冷え込みになるため、野辺山や菅平がその日の全国の最低気温を記録することもあります。

 明朝の天気図がこの気圧配置の時は、いつも以上の防寒対策が必要です。

気象予報士・防災士


2022年1月1日号掲載