クマムシと宇宙天気

宇宙環境の変化観測 ひまわり10号に期待

 地球上で最も生命力が強いといわれている生き物がいます。それは「クマムシ」です。

 クマムシは8本足の体長1ミリにも満たない微生物です。踏みつけたら簡単に死んでしまいます。では何がすごいのか。その実力は体を乾燥させ、体内の代謝を停止させる「乾眠状態」になると発揮されます。

 乾眠状態になったクマムシは、たとえ温度が100度でも、マイナス273度でも、電子レンジでチンしても、30年間冷凍されても、人の致死量の千倍以上の放射線をあてても耐えられるそうです。

 2007年には欧州宇宙機関などがクマムシを乗せた宇宙実験衛星を打ち上げ、空気のない宇宙空間に10日間さらすという実験を行いました。地球に帰還した後に水をかけると、まさかの復活を遂げたそうです。

 宇宙ではこのようにさまざまな実験が行われてきました。天気予報の進化も宇宙との関係抜きには語れません。気象衛星ひまわりが1977年に打ち上げられて以降、宇宙からの観測データは欠かせず、特に台風の監視では予報の精度の大幅な向上に貢献しています。

 現在はひまわり8号と9号が運用中ですが、2028年度に打ち上げられる10号からは気象観測のほかに、新たな役割が期待されています。

 それは宇宙環境の変化「宇宙天気」の観測です。

 もし太陽の表面で大爆発が起きると、地球上の磁気が乱れ、大規模な停電が起きたり、スマホが2週間使えなくなったりするほか、航空機や地上の送電網などに影響が及ぶと予想されています。

 昨年10月には、国連防災機関が宇宙天気を対処すべき災害の一つに位置付けたため、日本でも対応が急がれています。

 今はピンとこない「宇宙天気」ですが、近い未来には身近な存在になっているかもしれませんね。

 気象予報士・防災士


2022年8月27日号掲載