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キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱

=1時間50分

長野千石劇場(☎︎226・7665)で1月6日(金)から公開

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科学の世界舞台に 驚きと感銘の生涯

 1903年にノーベル物理学賞、11年にはノーベル化学賞を受賞したマリ・キュリー(1867〜1934年)。キュリー夫人として知られる彼女の業績は歴史上の偉人と呼ぶにふさわしい。その一方で、移民や女性であることから不当な差別を受け、夫の事故死など私生活で不運に悩み苦しんだ。「キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱」は、知られざるキュリー夫人の素顔と激動の人生を描いた伝記映画だ。

 19世紀末。女性の高等教育を受ける道が閉ざされていた祖国ポーランドからパリに移住し、ソルボンヌ大学で学ぶマリ(ロザムンド・パイク)は、外国人差別・女性蔑視の扱いを受け研究もままならないでいた。同僚の科学者ピエール・キュリー(サム・ライリー)はマリの能力を高く評価した。

 恋に落ち結婚した2人は娘を育てながら共同研究を重ねる。ウラン鉱からラジウムとポロニウムを発見した夫妻はノーベル物理学賞を受賞する。一気に有名人になった2人だったが、不慮の事故で夫が他界し、喪失感と不安に陥ったマリの行動がスキャンダルを巻き起こす。

 キュリー夫人の偉大さは研究に対するいちずさだ。果てしない忍耐と地道な努力。女性に参政権はなく、男尊女卑が当たり前の時代に、妥協せず意志を貫き通した精神力に圧倒される。

 彼女が名付け親となった「放射能」は、がんの治療に貢献した半面、核兵器を生む道を開いた。人間の命を救い、奪いもする放射能に、科学者として苦悩するマリ。第1次世界大戦では自ら開発した移動式のレントゲン機を使い、野戦病院で負傷兵の治療にあたった。母親の鮮烈な人生を間近で見ながら成長した娘のイレーヌも科学者となり、自身の研究でノーベル賞を受賞している。母娘での受賞は初の快挙だった。

 科学の世界を舞台に、強い愛の物語に引き込まれてゆく。逆境を跳ね返すキュリー夫人の強い意志と、愛することに躊躇しないしなやかな心。未来を生きる女性たちのパイオニアとなった彼女の生きざまは、驚きと感銘に満ちている。

日本映画ペンクラブ会員、ライター


2022年12月24日号掲載

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