ニッコウキスゲが一面に
記録的な早さで梅雨が明けた後、戻り梅雨状態となった7月中旬の土曜日、スタッフを務める県カルチャーセンター「里山講座」の会員たちと木島平村のカヤの平に出かけた。
この時季の目当ては、一面に咲き誇る北ドブ湿原のニッコウキスゲの大群落。期待通り満開の花々を楽しんだ後、近くの八剣山(はっけんざん=1676メートル)に登った。
7時に長野駅東口を大型バスで出発。飯山市から千曲川を渡って木島平村へ。途中から清水平林道に入り、年に1回だけ水が落ちる姿を見せる樽(たる)滝の前を通ってカヤの平へ向かう。心配した天気も晴れ間が見えてきた。
広い駐車場のある総合案内所前に9時ごろ到着。準備体操をしてブナ林の中に入る。行きは西コースを進む。二抱えほどもある大木が至る所に林立している。
耳を当てて水が上がる音を聞いてみるが、よく分からない。時折、10センチ以上もある山ナメクジが幹にへばりついているのを見かけた。
登山道などが交わる五差路を過ぎると、山に囲まれた北ドブ湿原が見えてきた。遠くからでもニッコウキスゲの黄色い花々が分かる。近づくと一面の大群落だ。なぜか木道沿いによく咲いている。
ニッコウキスゲの花が少ない場所には、白い綿毛を付けたワタスゲが目立つ。さらによく見ると、薄ピンクのトキソウのつぼみや、小さな青い星のようなタテヤマリンドウのほか、朱色のクルマユリや赤紫のハクサンチドリの姿も。
花を十分楽しんだ後、木道脇のあずまやで大休止。ゆっくり休んだ後、この付近では一番高い八剣山へ向かう。途中の登山道脇では、花が終わり実を付けたサンカヨウやエンレイソウ、キヌガサソウ、真っ白なギンリョウソウも見かけた。
尾根コースとの合流点を過ぎると、急登が始まる。20分ほど登り詰めると、もう山頂だ。案内所でもらったマップに「展望不良」とあるように、高い樹木に囲まれ何も見えない。狭い頂上には八剣山の山頂標識が朽ち落ち、ボロボロになった支柱が立っていた。
早々に下りに入り、湿原脇のあずまやで昼食を取った後、再び花に囲まれた木道を歩く。帰りは五差路から東コースを下る。こちらも周囲は見事なブナ林だ。下りきって案内所で、気になっていた「ドブ」の意味を尋ねると、湿原のことだという。
帰路は同村の馬曲温泉に立ち寄り、緑の高社山を北側から眺めながら露天風呂で汗を流して長野に戻った。
横内房寿
2022年8月6日号掲載
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