カモン カモン

=1時間48分

長野グランドシネマズ(☎︎233・3415)で4月22日(金)から公開

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おいとの共同生活 悪戦苦闘の独身男

 「カモン カモン」は、子どもたちの未来への願いと、家族の絆を温かく描いたヒューマンドラマだ。

 ジョニー(ホアキン・フェニックス)は、米国各地を飛び回り、子どもたちにインタビューしているラジオジャーナリスト。疎遠になっていた妹ヴィヴから頼まれ、しばらくの間9歳のおいジェシー(ウディ・ノーマン)の世話をすることになる。独身で子育て経験がないジョニーは、おとなびた口調でさまざまな質問を投げかけるジェシーにたじたじとなる。さらにジェシーの予測不能な行動に振り回される始末。果たして2人は分かり合うことができるのか。

 マイク・ミルズ監督は、「人生はビギナーズ」や「20センチュリー・ウーマン」など、世代間を超えた家族の姿を描いてきた。子どもが生まれ父親になった自らの体験を基に書いたという脚本の本作は、数々の国際映画祭や映画批評家協会の賞を受賞している。

 ホアキン・フェニックスは、米アカデミー賞主演男優賞を受賞した「ジョーカー」(2019年)で、孤独と絶望から狂気に走る悪役を強烈に演じたが、本作では一転して少年の扱いに悪戦苦闘する不器用な男を見事に演じている。

 この名優に負けず劣らず存在感を示したのがジェシー役のウディ・ノーマン。繊細で複雑な内面を抱える難解な役どころだけに、ミルズ監督はジェシー役が見つからなければ制作中止も考えていたという。2人が醸し出すナチュラルな空気感が心地よい。

 デトロイト、ロサンゼルス、ニューヨーク、ニューオーリンズという歴史も背景も異なる都市でロケ撮影が行われ、カラー映像ではなく全編モノクロ作品に仕上げられた。その深い陰影がなんとも美しい。見ているうちに想像力を刺激されるのか、カラフルな世界に見えてくるような気がするから不思議だ。

 9歳から14歳の子どもたちを実際に取材し、そのインタビュー映像が使われている。子どもたちの素直でリアルな声によって、ドキュメンタリーとしての魅力も放っている。

日本映画ペンクラブ会員、ライター


2022年4月16日号掲載