top of page

オツネントンボ

成虫の状態で越冬し 春 産卵場所など独占

 日本にいる約200種類のトンボのうち、成虫の状態で越冬するのはオツネントンボ、ホソミオツネントンボ、ホソミイトトンボの3種類です。


 オツネントンボの語源は「越年(えつねん)」。北海道から九州まで広く生息しています。少しくらい雪に埋もれても平気なほど寒さに強く、北海道の旭川でも冬に飛ぶ姿が目撃されています。


 細い体が特徴的で、冬に餌を食べなくてもいいように秋のうちにたくさん食べ、栄養を蓄えておきます。冬を越す場所はさまざまで、木々の裂け目やくぼみ、建物のドアや窓、外壁の隙間などに体を入れて寒さをしのぎます。


 多くのトンボが卵か幼虫で冬を迎える一方で、なぜ成虫で越冬する種類もいるのでしょうか。それは、成虫でいると春になって餌や産卵場所を独占できるからのようです。トンボは複数の種類が同じ水域を使うため、夏が短い北海道ではさまざまな種類による縄張り争いが絶えません。ほかのライバルたちが、まだ卵や幼虫といった動けないうちに、確実に繁殖に臨んでいるようです。


 ところで、今日1月25日は「日本最低気温の日」です。1902年の今日、旭川で氷点下41度まで下がりました。空気中に含まれる水蒸気が凍り、まるで霧のように景色が白くなったそうです。


 ここまで冷えることはないにしても、2年前の冬は非常に強い寒気が流れ込み、北海道の「陸別」では氷点下30度以下を観測した日が5日間もありました。こういう日は、登校する時に凍傷になる危険があるため、休校になったり、寒さが緩む2時間目から始まったりと対策がとられるようです。ちなみに、そのシーズンは長野市でも氷点下12度近くまで下がりました。


 冷え込む日は天気図にも特徴が現れます。冬型の気圧配置が緩み、西から高気圧に覆われてきます。まだ寒気が残っている状態で、晴れて放射冷却が強まるため、一年の最低気温を記録することが多くあります。足元から冷えますので、厚手の靴下や膝掛けなどを有効に使いましょう。

(気象予報士・防災士)


2025年1月25日号掲載

 © weekly-nagano  All rights reserved.

bottom of page