寒さに弱い南方系 常緑樹に身潜め越冬
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日本に生息しているカメムシは約1000種類。その中には「旅するカメムシ」もいます。
「オオキンカメムシ」といい、背中はオレンジと黒色、おなかは蛍光ピンクという派手な見た目に加え、体長2センチの大きな体で、昆虫愛好家からの人気も高いようです。
このカメムシは南方系の昆虫のためとにかく寒さに弱く、暖かい場所を選んで過ごしています。
夏は主に日本海側にいて、アブラギリという木の実を吸って成虫になります。そして冬が近づくと、温暖な四国や紀伊半島などの太平洋側の海岸林に集まり、ツバキやミカンなどの常緑樹の枝先や葉の裏などに身を潜めます。そのまま冬を越すのですが、集団越冬の北限は千葉県南部の沿岸という説もあるそうです。そして翌年の5月ごろには再びアブラギリを求めて全国に散らばっていきます。
この冬は寒くなりそうですので、ひょっとしたらオオキンカメムシも例年との違いを感じ取り、じっとしているかもしれません。
さて、なぜ冬は寒くなるのか。当たり前のことですが、疑問に思ったことはありませんか。冬の寒さには「北極」が関係しています。
北極は冬至前後になると一日中太陽が登らず、気温が氷点下30度くらいまで下がる寒冷な場所です。北極からシベリア一帯に寒気がたまると、それを周りに吐き出すようになります。寒気をため込む「蓄積期」と、ため込んだ寒気を吐き出す「放出期」がだいたい数週間ごとに訪れます。これにより、日本の冬も寒さが厳しくなったり、緩んだりします。
放出期の寒気の度合いは、そのコースによります。寒気がヨーロッパを経由する長距離コースの場合は、日本に来るまでに寒気が弱まりますが、北極から直接やってくるコースだと寒さも雪も一級品です。
今年はまだ海面水温が高いため、冬の初めは寒気との温度差で大雪になる可能性もあります。冬支度は万全にしてください。
(気象予報士・防災士)
2024年11月30日号掲載