エリザベス 女王陛下の微笑み

=1時間30分

長野ロキシー(☎︎232・3016)で公開中

(C)Elizabeth Productions Limited 2021

今までの映像の軌跡 激動の時代映し出す

 英国史上、最長在位の女性君主エリザベス2世。96歳の今も君主として責務をこなしている。今年即位70周年を迎え、さまざまな祝賀行事が行われた。「エリザベス 女王陛下の微笑み」は、エリザベス女王の人生を追ったドキュメンタリー映画だ。

 この作品の企画は「ノッテイングヒルの恋人」のロジャー・ミッシェル監督が提案したもので、「ありきたりの王室ドキュメンタリーにしない」ところからスタートした。

 1952年2月6日、父ジョージ6世崩御により25歳の若さで即位。「全生涯を国民に尽くす」と誓ったエリザベスの多岐にわたる公務が映し出される。国民の目に留まりやすく—とまとう、鮮やかな色のドレスと帽子の女王スタイルは今も健在だ。 女王陛下と対面した多くの著名人たち。政治家ではチャーチル首相をはじめ歴代のイギリス首相。映画スターではエリザベス・テイラーやマリリン・モンローらと握手する姿も。

大英勲章を授けるのも女王の仕事の一つだ。1965年に叙勲したザ・ビートルズの若き日の姿も懐かしい。

 馬好きな女王の若き日の乗馬シーンや競馬に夢中になる素顔、軍旗分裂行進式に軍服で臨む乗馬姿がりりしい。

 国民の熱烈な支持を集める英国王室だが、多くのスキャンダルにも見舞われた。なかでもダイアナ元妃の交通事故死は衝撃的だった。英国民だけでなく世界中の人々が女王のコメントに注目した。

 1930年代から現代までの映像の軌跡は、まさに生きた歴史そのもの。一人の女性がたどった旅路をひもとき、組み合わせることで、観客が驚くものを作りたかったという監督の狙い通り、激動の時代が映し出される。残念ながらミッシェル監督は昨年9月に映画の公開を待たずに急逝した。

 2012年夏、ロンドンオリンピックで「007」ジェームズ・ボンド役のダニエル・クレイグと共に女王が登場したシーンは観衆を大いに沸かせた。そのお茶目で堂々たる名女優ぶりを思い出す。雲の上の存在なのに親近感を抱かせる。まさに女王陛下の魅力であり、国民に愛される理由ではないだろうか。

日本映画ペンクラブ会員、ライター


2022年7月9日号掲載