アサギマダラの「渡り」

「暑い」も「寒い」も苦手 何千キロも飛び続ける

 2年前の9月下旬、長野市の地附山で「アサギマダラ」を見つけました。

 アサギマダラは日本で唯一生息地を移る「渡り」をするチョウです。10センチほどの小さな体で、1000〜2000キロを移動します。夏は涼しさを求めて東北や長野県の高原などで過ごし、寒くなる11月上旬ごろには暖かい沖縄や台湾、香港などに移ります。

 なぜ渡りをするのかというと、「暑いのも寒いのも極端に苦手」だからです。

 変温動物である昆虫は外気温によって体温が変わりますが、アサギマダラは暑くなると人間で例えるところの熱中症になって、すぐに死んでしまうそうです。

 反対に気温が19度以下になると、今度は寒くて、飛ぶことが難しくなるそうです。そういう時は、人間も寒い時に筋肉が震えるように、アサギマダラも筋肉を震わせて体温を上げるそうです。

 暑さ寒さから逃げるために何千キロも飛び続けているわけです。

 夏は暑く、冬は寒い信州に住む私たちにとって、住む場所を自由に変える暮らしはうらやましくも思えます。今年は夏が長引きましたが、信州はここから一気に季節が進んでいきます。

 気象の世界では、冬が近づいてきたことを知らせる情報があります。気象庁が出す「木枯らし1号」です。

 木枯らし1号は、10月半ばから初冬の間に、西高東低の気圧配置になった時に、初めて最大風速が8メートル以上の北よりの風が吹くと、東京と大阪で発表になります。

 つまり、「冬の気圧配置が現れ始め、冷たい風が吹くようになりましたので、冬支度を始めてください」というお知らせなのです。

 厳しい冬の寒さから逃げられない信州人、木枯らし1号を合図にしっかり寒さに備えたいものです。

 気象予報士・防災士


2022年9月24日号掲載