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アイアンクロー

=2時間12分

長野千石劇場(☎︎226・7665)で公開中

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「史上最強の一家」の悲劇 愛情と葛藤—再生へ

 相手の顔面をわしづかみにして圧迫する「アイアンクロー(鉄の爪)」を必殺技に、ジャイアント馬場、アントニオ猪木と死闘を繰り広げたプロレスラー、フリッツ・フォン・エリック。「アイアンクロー」は、息子たち全員をレスラーに育て上げ、「史上最強の一家」となる野望を抱いた「フォン・エリック家」の波乱の実話を基にした映画だ。

 元AWAヘビー級王者フリッツの野望は、息子たち全員がプロレスラーの、世界史上最強の一家になること。次男ケビンは、5歳で亡くなった兄の代わりに長男としての役割を務め、三男デビッド、四男ケリー、末っ子のマイクと共に兄弟レスラーとして活躍する。ライトに浮かび上がる四角いリングに飛び散る汗。ぶつかり合う筋肉と筋肉。

 ケビン役のザック・エフロンは、「ハイスクール・ミュージカル」などではアイドル的な存在だったが、年々俳優としての幅を広げ、さまざまなジャンルの作品に出演。初のレスラー役に挑んだ本作では肉体改造を試み、ほれぼれするような見事なまでの筋肉美をつくりあげた。ザックをはじめ、スタントなしに自らリング上で闘った男優たちの本格的なプロレスシーンは見応え十分だ。

 派手なパフォーマンスと楽屋裏の会話に、プロレスがスポーツのレスリングと違い、エンターテインメントのショービジネスでもあることを思い知らされる。悪役を演じ続け、息子たちには男らしさを押し付ける威圧的な父親から弟たちを守ろうとするケビン。

 デビッドが日本でのプロレスツアー中に急死。一家はさらなる悲劇に見舞われ、いつしか「呪われた一族」といわれるように。そしてケビンはある決断を下す。

 ショーン・ダーキン監督は、子どもの頃から大のプロレスファンで、スポーツ界のケネディ家と呼ばれたフォン・エリック一家の悲劇に衝撃を受けたという。悲しみの記憶から書き始めた脚本は、喪失を乗り越えようとする家族の愛情と葛藤、そして再生の人間ドラマとなった。

 日本映画ペンクラブ会員、ライター


2024年5月25日号掲載

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