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はたらく細胞

=1時間49分

長野グランドシネマズ(☎︎050・6875・0139)で公開中

(C)清水茜/講談社 (C)原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社 (C)2024映画「はたらく細胞」製作委員会

いろいろな細胞登場 巧みなストーリー

 人間の体には実に37兆個もの細胞があるという。「はたらく細胞」は、赤血球や白血球など無数の細胞を擬人化して描くというユニークな設定で大ヒットした同名コミックの実写版だ。


 酸素を体内に運ぶ「赤血球」(永野芽郁)と、細菌やウィルスなどの異物と闘う「白血球」(佐藤健)の2人が働くのは、女子高生の日胡(にこ)(芦田愛菜)の体内。2人暮らしの父親の茂(阿部サダヲ)の健康を気遣い、弁当を毎日作る優しい娘だ。親子の体の中では、健康を守るべく細胞たちが忙しく働いていた。そんなある日、日胡が突然病に倒れてしまう。


 茂の不摂生な生活に振り回される細胞たち。たばこや酒に必死に対応する細胞たちの姿は、大笑いしながらも申し訳なく思うほど。病魔に襲われた人間を、細胞たちが総動員で守ろうと必死に働く使命感の強さに思わず声援を送ってしまう。


 擬人化されたカラフルな細胞たちは、CG(コンピューターグラフィック)ではなく本物の人間が演じているそうだ。半端ではないエキストラの数に驚く。NK細胞、キラーT細胞、ヘルパーT細胞、肝細胞、マクロファージ…。人間の体の中にいるいろいろな細胞たちの登場に、なじみのある名前もあれば、新たに知るものもある。外敵には肺炎球菌、黄色ブドウ球菌、化膿レンサ球菌など、死に至らせる恐ろしい悪玉がいる。体内に侵入してきたそうした病原菌に立ち向かう白血球たちの立ち回りシーンも見どころの一つ。佐藤健主演の人気シリーズ「るろうに剣心」のアクション監督が手掛けているだけに、ワイヤーアクションで病原菌をなぎ倒す白血球のスピード感は痛快だ。


 人体の驚くべき仕組みや医学的な情報も分かりやすく学べるストーリーの巧みさ。映画版で初めて人間の側からの視点を取り入れている。監督は「テルマエ・ロマエ」「翔んで埼玉」の武内英樹。


 年末年始。飲み過ぎ食べ過ぎで体や内臓に負担をかけてしまう機会も多い。そんな時、ふと細胞の存在にいとおしさと、感謝の気持ちが湧いてくるに違いない。

(日本映画ペンクラブ会員、ライター)


2024年12月21日号掲載

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