どう育てる? 8月スタートの電子図書館「デジとしょ信州」

県立長野図書館がフォーラム

電子図書館をどう育てていったらいいのかをテーマに語り合ったフォーラム
紙と電子それそれの良さを踏まえて

 県内77市町村と県による協働の電子図書館「デジとしょ信州」と、「県立長野図書館電子書籍サービス」の二つの電子書籍サービスが8月5日からスタートしたのを機に、県立長野図書館は9月3日、信州発・これからの図書館フォーラム「共知・共創の広場へ—さらに一歩踏み出す」の本年度第1回を同図書館で開いた。

 公共図書館の職員、出版社や印刷会社、教員や電子図書館に関心のある個人など来場とオンラインを合わせて県内外の100人以上が参加。「電子図書館、どう育てる? 〜本の『つくり手』と『よみ手』をつなぐために、私たちができること〜」をテーマに、本に関わるさまざまな人たちが、電子図書館の可能性や課題を語り合った。

 2014年度にスタートした札幌市中央図書館の電子図書館事業について、同図書館の浅野隆夫さんと、事業に携わった北海道デジタル出版推進協会代表理事の林下英二さんが基調講演。浅野さんは、「電子図書館とは、電子書籍の貸し出しサービスのことだけではない。ネットワークの力を生かせば、地域資料を大事にして活用したり、子どものための読書の普及活動をしたりすることも、図書館がアナログでやってきたことよりももっと遠く、もっと広く届けることができる」と訴えた。

 また、高森町立高森北小学校の学校司書、宮沢優子さんが町立図書館の電子書籍を教育現場で活用する実践事例について、松川村図書館長の棟田聖子さんが小学校の副読本のデジタルブック「わたしたちの松川村」制作に協力した事例について話題提供。パネルディスカッションは、講演者、話題提供者の4人がパネリストになり、参加者を巻き込んで話し合った。

 参加者からは「地域住民が自ら作った地域資料を電子書籍化し、電子図書館に提供することがムーブメントになったら面白い」「電子図書館に、借りるだけでなく、コンテンツ(電子書籍)を買ったり売ったりする機能も付け加えられないだろうか」など、思い思いに意見を述べた。

 県立長野図書館の森いづみ館長(53)は「紙の良さ、電子の良さを踏まえ、読み手が(紙の本で読むか、電子書籍で読むか)主体的に選べる環境にしたい。まだ過渡期。これからみんなでつくっていく電子図書館に期待してほしい」と話した。

 フォーラムの内容を収めたアーカイブ映像は9月末まで、動画共有サイト「YouTube」の同館公式チャンネルで配信している。

 記事・写真 松井明子


2022年9月10日号フロント